外壁の考え方に誤りは無いですか?
Date : 2013.02.08 / Category :
住宅街の中にひときわ目立つ 本物の木の外壁 目を引きますしさわやかな感じもします。
けれど火災などのリスクについて設計者はお施主にお話ししたのでしょうか。
住宅の外壁は都市計画区域によって防火の程度が定められています。
木の外壁でも下地等に不燃材を使うなどすれば建築基準法上はなんの問題もありません。 デザインやエコの観点から規制は緩和されています。
しかし多くの設計者がわかっていないのは 耐火・防火の内容です。
たとえば一時間耐火といえば隣で火が燃え盛っても一時間は大丈夫とイメージしていることが多いと思いますが、実はコンクリート造りや鉄骨造りでも実際に起こってしまった火災に対しては建物はほとんど無力です。
一時間耐火とは火災が起こってしまった場合 一時間は建物が倒壊や重大な損傷を起こして他に迷惑をかけない時間のことを指します。
木造住宅における防火構造とは 自分のところからの発火ではなく お隣 近所から火災が発生した場合に避難できる時間を確保するための定めです。 そこに規定された時間はわずか20分です。
私は消防団員として実際の火事には何度も遭遇しています。 火災が発生した場合 お隣と10メートル以上離れていたり 道路を挟んでいたとしても消火活動が遅れた場合必ず類焼します。
農村で林を挟んでいるような家々でも簡単に火は燃え移ります。
木の外壁の場合 基準法上の時間だけ家の中に火の侵入は防げても外壁全体はすぐに燃えてしますことが想定されます。
自分の家の周り半径50メートル以内に将来にわたり絶対に他の家が建たないという保証でもない限り木の外壁は防火を目的に作られた外壁よりもリスクがあると私は考えています。
このリスクを設計者はお施主に話しているのでしょうか? まさか何も話さないでデザインのために設計者自ら木の外壁を採用することをお施主に薦めているのであればただのエゴイズムであると私は思います。
設計者であればこのリスクはしっかりとお施主に説明したうえ、それでも採用したいとの意向があればそこからベストを尽くすべきです。